
©2019『最初の晩餐』製作委員会
“通夜ぶるまい”は、
かつて親父がつくってくれた、目玉焼きだった…。
父が亡くなった。通夜の夜、母が仕出し屋を突然キャンセルし、出した「通夜ぶるまい」は目玉焼き。
みんなが戸惑う中、次々と出てくる料理。それは1 冊のノートに残された父の思い出の味。
父との時間が蘇り、家族も知らなかった秘密が浮き彫りになっていく……。
染谷将太、戸田恵梨香、窪塚洋介、斉藤由貴、永瀬正敏
日本映画界の実力派が夢の競演!
構想7年の渾身の脚本には、豪華キャスト陣が結集し、見事なアンサンブルを奏でる。主人公・麟太郎役はヴェネチア国際映画祭で日本人初となるマルチェロ・マストロヤンニ賞を受賞した『ヒミズ』(11)を始め、幅広い作品で多彩な顔を演じ分ける実力派・染谷将太。仕事に悩み、家族への持て余した感情を抱きながらも、抑えた表情で演じた。その姉・美也子役には2019年後期NHK連続テレビ小説「スカーレット」でヒロインを務める戸田恵梨香。ある事件をきっかけに、家族の元を離れ、15年ぶりに姿を見せる兄シュン役にはマーティン・スコセッシ監督の『Silence-沈黙-』(17)の窪塚洋介。さらに円熟味を増したベテラン斉藤由貴、日本映画界を代表する名優・永瀬正敏が、両親役で圧倒的な存在感を見せる。また、新海誠監督の最新アニメ『天気の子』のヒロインの声に抜擢された森七菜や白石晃士監督最新作『地獄少女』(11月15日公開)でメインキャストに抜擢された楽駆を始めとする、若手の瑞々しい演技も注目だ。
監督と脚本を手掛けるのは、サザンオールスターズのドキュメンタリー映画をはじめとし、コマーシャル、ミュージックビデオなど様々な分野で高く評価される常盤司郎監督。短編映画でも国際的な評価を受けてきた。本作が満を持しての長編映画デビュー作となる。
この才能を後押ししようと、『HANA-BI』(98)の撮影・山本英夫らベテラン映画陣がバックアップ。常盤監督のキャストの内面を引き出す粘り強い演出、小津安二郎監督作品を思わせるロー・アングルの構築美。さらには、もう一度“家族になる瞬間”を、通夜から葬式にかけて、たった1日で物語を紡いた構成力には、新たな才能の登場を感じずにはいられない。
古くは伊丹十三監督の『お葬式』(84)から、『死ぬまでにしたい10のこと』(03)『エンディングノート』(11)『おみおくりの作法』(13)など終活、生き方への注目が集まる中、新たな〈おみおくりの物語〉が誕生した。


S t o r y
忘れられない味で僕らはもう一度、家族になった。
独立して2年目となるカメラマン、東麟太郎(染谷将太)は、姉の美也子(戸田恵梨香)とともに薄暗い病院の食堂で、麺がのびきったラーメンを食べている。
「親父が死んだ……。65歳になる直前の、夏至の日の明け方だった」
久しぶりに故郷に帰ってきた麟太郎は病室で亡き父・日登志(永瀬正敏)と対面し、葬儀の準備をしながら、ありし日の家族を思い出す。
通夜の準備が進む実家の縁側で、麟太郎がつまらなそうにタバコを吸っていると、居間では、ちょっとした騒動が起きていた。通夜ぶるまいの弁当を、母・アキコ(斉藤由貴)が勝手にキャンセルしていたのだ。なにもないテーブルを見つめて戸惑う親戚たち。母は自分で作るという。それが父の遺言だ、と。やがて最初の料理が運ばれてくると、通夜の席はまた、ざわつき出した。母が盆で運んできた料理は目玉焼きだった。
戸惑いながらも、箸をつける麟太郎。目玉焼きの裏面を摘む。ハムにしてはやけに薄く、カリカリしている。
「これ、親父が初めて作ってくれた、料理です」
登山家だった父・日登志と母・アキコは再婚同士で、20年前に家族となった。麟太郎(外川燎)が7 歳、美也子(森七菜)が11歳の夏だった。
新しく母となったアキコには、17歳になるシュン(楽駆)という男の子がいた。5人はギクシャクしながらも、何気ない日常を積み重ね、気持ちを少しずつ手繰り寄せ、お互いにちょっとだけ妥協し、家族として、暮らしはじめていた。
それは平凡だけど、穏やかな日々だった。しかし、1本の電話が、まるで1 滴の染みが広がるように、この家族を変えていく…… 。
そして兄のシュンは、父と2人で山登りへ行った翌日、自分の22歳の誕生日に突然、家を出て行った。父も母もなぜか、止めようとはしない。以来、家族5人が揃うことはなかった。
次々と出される母の手料理を食べるたび、家族として暮らした5年間の思い出が麟太郎たちの脳裏によみがえる。それは、はじめて家族として食卓を囲んだ記憶だった。兄弟で焼いた焼き芋、父と兄が山で食べたピザ、姉の喉に刺さった焼き魚の小骨。あのとき、家族になれたはずだった。
あの日、父と兄になにがあったのか? 死の寸前、父はなにを思ったのか? 姉が抱えている小さなキズとは? 母が長年隠し続けてきたこととは? 家族として過ごした5 年間という時間。それは、短かったのか? 長かったのか? 父の死をきっかけに、止まっていた家族の時がゆっくりと動き出す。
そして通夜ぶるまいも終盤に差しかかったその時、兄のシュン(窪塚洋介)が15年ぶりに帰ってきた……。
<上映情報>
ユナイテッド・シネマ橿原
ユナイテッド・シネマ橿原
奈良県橿原市十市町1222-1
ツインゲート橿原内
(24時間自動音声案内 TEL:0570-000-206)
Credit
最初の晩餐
CAST
東 麟太郎 染谷 将太
北島(東) 美也子 戸田恵梨香
東 シュン 窪塚洋介
東 アキコ 斉藤由貴
東 日登志 永瀬正敏
東 美也子(少女時代) 森七菜
東 シュン(青年時代) 楽駆
東 麟太郎(少年時代) 牧純矢
東 麟太郎(少年時代) 外川燎
東 盛一 池田成志
木村 善男 菅原大吉
北島 康介 カトウシンスケ
小畑 理恵 玄理
井住 山本浩司
小野寺法正(坊主) 小野塚勇人
拓二 奥野瑛太
床屋のおじさん 諏訪太朗
三岡(声のみ) 平原 テツ
木村 信子 渡辺 杉枝
木村 健男 西原 誠吾
木村 仁美 美智
東 ナオト 大迫 芽生
北島 美姫 堰沢 結愛
北島 大輔 潤 浩
葵 塩沢 結由
医師 岩谷 健司
アキコの元夫 山本 修夢
食堂の店員 真下 有紀
杏子 東野 瑞希
小学校の先生 大辻 賢吾
台風中継のアナウンサー(声のみ) 千広 真弓
Staff
監督・脚本編集 常盤 司郎
企画・プロデューサー 杉山 麻衣
プロデューサー 森谷 雄
鈴木 剛
共同企画 中川 美音子
撮影 山本 英夫
証明 小野 晃
美術 清水 剛
装飾 澤下 和好
録音 小宮 元
整音 横田 智昭
衣裳 宮本 茉莉
ヘアメイク 橋本 申二
小道具 尹 恵嫄
フードコーディネーター 赤堀 博美
VFX 本田 貴雄
助監督 丸谷 ちひろ
制作担当 金子 堅太郎
山岳コーディネーター 大森 義昭
音楽 山下 宏明
音楽プロデューサー 鮫島 充
協力 信州上田フィルムコミッション/上田市/上田市のみなさん
製作 『最初の晩餐』製作委員会
製作プロダクション アットムービー
宣伝 ミラクルヴォイス
配給 KADOKAWA
宣伝デザイン 中川 美音子(patrasche)
藤井 一成(HAPPY HOURS HAKUHODO)
高橋コージ( HAKUHODO )
木村 透( HAKUHODO )
東辻 毅( Folkie )
スチール 百々 新
斎藤卓行
有村 蓮
オフィシャル・ライター 平辻 哲也
2019年/日本/ 127 分/カラー/ビスタ/ 5.1ch / © 2019『最初の晩餐』製作委員会